プラスチックの袋を溶かすいも虫がゴミ問題を救う?

プラスチックの袋を溶かすいも虫がゴミ問題を救う?

超偶然の産物がいも虫さんでした!

ヨーロッパの研究チームが、あるいも虫がプラスチック袋やポリエチレン製品を溶かすことができることを発見しました。このいも虫の特性を応用してゴミを削減できるのでは?と科学者たちはワクワクしています。

そのいも虫とは、養蜂家の間では馴染みのあるハチノスツヅリガ(Galleria mellonella)の幼虫。別名「ワックスワーム」と呼ばれています。蜂といも虫?と思うかもしれませんが、このワックスワームの卵は蜂の巣の中に産み付けられて、蜜蝋の上で生まれ育ちます。Current Biologyで発表された新しい研究によると、このいも虫は蜜蝋を分解することができるだけでなく、プラスチックも分解可能だとわかったそうです。実はこれ、たまたまプラスチックにも穴が開けられるというわけではなく、プラスチックと蜜蝋の化学的性質がとても似ているから。研究者たちはこれをうまく利用して、海や川などにあるプラスチックのゴミを分解できるかもと考えているようです。

このいも虫の特性の発見は、科学ではよくある偶然からだったみたいです。今回これを発見したスペイン国立研究協議会のFederica Bertocchiniさんはアマチュアの養蜂家。寄生害虫を駆除していたBertocchiniさんは、取り除いたいも虫を入れたビニール袋に1時間もたたないうちに穴が開いていることに気づきました。科学者でもある彼女は調べたい・知りたい意欲に駆られ、ケンブリッジ大学の生化学者であるPaolo Bombelliさんに協力を求めます。

プラスチックの袋を溶かすいも虫がゴミ問題を救う?2

image: César Hernández/CSIC

2人は実験をしてみることに。イギリスの普通のスーパーで使われているプラスチック・ポリエチレン製の袋に100匹のいも虫を入れます。40分後に穴が開き始め、12時間後には袋の重量を92mgも減らすほど穴だらけに。過去に同じようなプラスチックを食べるバクテリアで実験したところ、1日に13mgしか減らすことができなかったとのことなので、これはかなりのスピードです。

またいも虫をプラスチックの上に這わせてみても、袋に入れたときと同じような結果が出たことから、恐らくいも虫の体内にある化学物質が関係しているんではないかと考えられています。

「もしある酵素がプラスチックを分解しているのなら、バイオテクノロジーを利用してもっと大量のごみの処理手法に応用することができます。この発見は、現在大きな問題となっているゴミの埋立地や海にあるポリ袋ゴミを削減できる大変重要な役割を担うかもしれません」とBombelliさんは語っています。

プラスチックのゴミはBombelliさんが語るように、大きな問題となっています。毎年約8000万トンものポリエチレンが製造されていますが、ポリエチレンが完全に分解するのには100年以上という大変な時間がかかります。研究者たちはこのスピードをどうにか早めることはできないかと考えていて、プラスチックを分解するバクテリアなどで実験をしていましたが、このいも虫は希望の光となるかもしれません。

でも産業レベルで使用するには、このいも虫が一体どうやってプラスチックを分解しているのかを解明しなければいけません。Bombelliさんは「このいも虫は化学結合を分解する何らかの物質を作り出しています。もしかすると唾液腺、もしくは消化器内に共生細菌がいて、それによって作り出されているのかもしれません。どちらにしても次のステップでは、この現象の分子プロセスを解明して、分解の役割を担っている酵素を判明させなければなりません」と話しています。

もちろんいも虫はプラスチックを食べるために生まれてきたわけではありませんが、それが彼らの食べ物になり私たちのゴミが減るのならウィンウィンな結果なのかもしれませんね。いも虫を大量に放つわけにはいかないので、やっぱり仕組みを解明してもらって科学的にやってもらいたいですね。

top image: Federica Bertocchini, Paolo Bombelli, and Chris Howe
source: Current Biology

George Dvorsky - Gizmodo US[原文
(岩田リョウコ)

Source: Gizmodo

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